ヨーロッパの包装と日本の包装
2022/10/19作成
2022年10月13日、TOKYO PACK2022(2022東京国際包装展)にて「スウェーデン包装セミナー」に参加しました。欧州の取組と展示会場で見た包装材料について記載します。
ヨーロッパの包装事情
欧州グリーンディールでは、2030年までに全ての包装材をリユース・リサイクル可能なものにすることを目標に掲げています。パッケージメーカーはリユース・リサイクル可能な設計を研究し、同時にどのようにバリア機能を保持するかという課題に取り組んでいるといいます。また複合材料の回収効率向上を図る新たな分別リサイクル手法を確立していっております。
現時点での包装材の変容の一部として、「より軽く、より小さく、より少なく」の軽量包装、「ゴミが出ない食べられる新しいパッケージ=バイオベースのビーガンコーティング」、「食品・小売業向けのリユース可能なテイクアウト用パッケージ」などが既に開発済みです。
スウェーデン南部のスコーネ地方は、Tetra Pak社、Alfa Laval社、Trelleborg社など包装技術をリードする大手企業の本拠地であり、関連中小企業150社以上が集まる産業ハブ拠点。世界屈指の研究施設MAX ⅣとESSにはナノテクノロジー分野の研究者や学生が在籍し日々イノベーションの創出に貢献しているそうです。欧州特有のテストベッドなどもあり、各メーカーが気軽に相談・開発できる環境がありイノベーションが生まれるとの話でした。
日本の包装事情
その話を受けて見学した展示会場では、脱プラ・減プラ包材が多く見られました。欧州とは異なり民間主導でのCO2排出削減やSDGs観点の取組からのニーズが出ているようです。
リサイクルという観点で考えると単一素材(モノマテリアル)であれば、リサイクルが比較的容易であり、日本でもPETボトルのリサイクル率は88.5%(2022年度)です。軟包材は複合素材でできており、リサイクル可能な資材にするということは、難しい課題のようです。単一素材にするとバリア機能をどのように担保するかという課題が出てきます。
その中でも、リサイクルまで念頭に作られている包材もありました。例えば紙+バリア素材、バリア性を上げる為に植物由来のでんぷんでバリア層を施し、リサイクル時には水に溶かして分離リサイクルするという材料。こちらは水に弱いというデメリットもありますので乾燥した内容物の包装用途となります。
PET素材100%のチューブ、こちらは印刷も水系インクでダイレクト印刷し、リサイクル時には先に印刷インクを除去し、PET再生可能との事でした。
ヨーロッパと日本の包装材料に対するアプローチは異なりますが、今後の包装材の動向を注視していきたいと思います。
参考:包装に関わるEUの規制/指令
Farm to Fork(F2F)
Circular Economy Action Plan(CEAP)
Packaging and Packaging Waste Directive(PPWD)
Waste Framework Directive(WFP)