産業用ロボットの動向(2022)
2022/3/28作成
日本の産業用ロボット需要
暦年2021年の日本の産業用ロボット生産額は約9,400億円で過去最高でした。22年は1兆円越えの見通しとなっています。出荷額は約8,400億円で出荷の内訳は輸出78%、国内向け22%で海外向けが圧倒的に多くなっています。中でも中国向けは全体の4割に及びます。
国際ロボット連盟によると、「過去10年間に産業用ロボットの数は3倍に増えたが、毎年の新たな需要の45%を日本が供給しており、中国は12%と韓国は7%の供給シェアとなっている。」との事で日本の存在感が伺えます。
出典:日本ロボット工業会 「国内出荷・輸出額推移【会員ベース】」を元に当社作成
次に、国別(エリア別)の稼働台数を見てみました。2018年時点データのマニピュレーティングロボット*では中国が1位、次いで日本、韓国となっています。
アジアでは産業用ロボットの導入が進んでいることが読み取れますね。世界一のロボット使用国である中国ですが、中国メーカーの使用割合は約3割程度で、7割は日本製やその他の国のロボットを導入しているそうです。
*マニピュレーティングロボット=3自由度以上のロボット
出典:日本ロボット工業会 「世界の産業用ロボット稼働台数推定(マニピュレーティングロボットのみ)」を元に当社作成
国際ロボット展で見た人協働ロボット
人協働ロボットは柵が不要で場所を固定せずに使用でき、操作の自由度が高いのがメリットです。一方で比較的にスピードが遅くなるのと導入費用が高額になるデメリットもあるようです。同一固定の作業であれば、柵で囲い、垂直多関節、水平間接型(スカラ)、パラレルリンクなどで行う方が生産性が上がるケースも多そうです。
人協働ロボットといえば、人型(ヒューマノイド)を想像する方もいらっしゃるかと思いますが、人型の新型機は女性の肩幅サイズという事で現場でのパートナー感を出した製品となっているとの事でした。
ロボットハンド
ロボットでつかむワークは硬さも様々ですが、上記のハンドは卵やシュークリームをつかむ事ができるハンドです(画像は生卵)。ハンド内部のエアーを陰圧にしワークをつかむので少量のエアーで制御できる事がポイントとの事でした。
ティーチレスロボット
現物での学習ではなくデジタル上の3Dモデリングを使用して仮想空間で覚える手法がいくつか確認できました。現場での設定がさらに楽になりそうです。
おわりに
2022国際ロボット展を見て、ロボットアーム自体にセンサー・カメラが搭載されたモデルや、様々なハンドなど現場での実用化が進んだ様子が伺えました。また、サービス用ロボットとしては配膳ロボットやラストワンマイルの配達ロボットなど社会課題に向き合うロボットも多数ありました。日常の中で目にする機会も増えていきそうです。