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染料インクと顔料インクの違いを解説!色材の種類が違います

2023.11.13
2023.11.13
インク

『インク』と一言でいってもさまざまな種類があります。たとえば、プリンターのインクやボールペン、油性ペンのインク、スタンプのインクなどです。
身の回りで使用されているインクの中には染料インクや顔料インクとよばれるインクもあります。

この記事では染料インクと顔料インクの特徴や両者の違いを解説していきます。

そもそも「インク」とは何?

インクの役割はボールペンや蛍光ペンを使用して紙に文字を書いたり、マークをつけたり、ポスターを印刷したりと表面を着色する用途で用いられます。

ボールペンや油性ペン、万年筆、朱肉、インクジェットプリンターなどのインクは液体インクとよばれます。
インクは液体成分である溶剤と着色成分である色材で構成されており、溶剤と色材の組み合わせでインクの種類は変わってくるのです。

インクの種類

インクの種類にはさまざまなものがあります。たとえば、水性インクや油性インク、顔料インク、染料インクです。
その他にも紫外線が照射されると固まる紫外線硬化インクや特殊なインクや「食べられる」可食インク、常温で固体である固体インク、熱が加えられると色が消えるインクなど特殊なインクも世の中にはたくさんあるのです。

染料インクと顔料インクって何が違うの?

では、インクの中でも顔料インクと染料インクではどのような違いがあるのでしょうか。

染料インクと顔料インクの違いは色材の種類

染料インクと顔料インクの一番の違いは液体に混ざっている物質です。一般的にインクは溶剤が水性と油性に分けられ、色材は染料と顔料に区別されます。
溶剤の種類が何であれ、色材が染料であれば「染料インク」であり、顔料であれば「顔料インク」です。

染料インクの特徴

色材に「染料」を用いたインクは染料インクです。色材である「染料」が溶剤に溶ける性質をもっています。
染料の特徴は溶媒に完全に溶けて混ざった状態になる点です。これにより、布や紙などの線維にしみこみやすく鮮やかに着色します。

顔料インクの特徴

色材に「顔料」を用いたインクは顔料インクです。顔料は溶剤に溶けない性質の色材です。
染料インクと異なり、色材である顔料が溶媒に溶け切っておらず粒子として残っています。顔料インクの特徴として、印刷物にインクが染み込みにくく、よりくっきりと印刷できます。

染料インクと顔料インクの色材の違い

では「染料」と「顔料」にはどのような種類があるのでしょうか。

染料の種類

染料インクに溶けている染料はまず色が違います。もちろん、色の違いだけではありません。染料は大きく分けて天然染料と合成染料に分類され、性質ごとに多くの種類があります。

天然染料

天然染料は大きく分けて植物性染料と動物性染料に分けられます。
植物性のものは植物の葉や花、根や樹皮などさまざまな箇所から色素を抽出しています。

代表的なものは藍や紅花、茜などです。一方、動物性のものは昆虫や貝殻などから色素を抽出します。代表的なものは貝紫やコチニールカイガラムシです。

合成染料

合成染料とは科学的に合成された染料です。合成染料の種類は非常に多く、特殊なもの以外はほとんどに合成染料が用いられています。
たとえば、油溶性染料や酸性染料、直接染料、カチオン染料など様々です。

顔料の種類

顔料は大きく分けて「無機顔料」と「有機顔料」に分けられ、それぞれ特徴があります。

無機顔料

無機顔料は鉱物や金属を主体とする無機物であり「鉱物顔料」ともよばれます。一般的に紫外線に強く耐候性に優れた特徴を持ちます。
日本の工業規格では白色顔料では亜鉛華や二酸化チタン、赤色顔料では酸化鉄、黒色顔料ではカーボンブラックなど規格で定められた顔料もあります。

有機顔料

有機顔料とは炭素を中心とした化合物である有機化合物からできた顔料です。透明度が高い一方で紫外線に弱い性質があります。
また、有機顔料には不溶性を示す不溶性色素と、水溶性の合成染料を不溶化させたレーキ顔料があります。

染料インクと顔料インクの印刷特性の違い

染料インクと顔料インクは色材が溶媒に完全に溶けるかどうかで異なります。インクの性質が、染料インクと顔料インクで異なるため当然、印刷特性もそれぞれ特徴が違うのです

浸透性

染料インクは液体に染料が溶けているため、紙に染み込みます。一方で顔料インクは紙の表面に顔料が定着して色をつけます。

乾きやすさ

印字対象物が紙の場合、染料インクは乾くまで時間がかかります。そのため、印刷した直後と乾いた後では色の見え方が異なります。
一方で顔料インクは速乾性があり、印刷直後と乾燥後の色の見え方に大きな差はありません。(印字対象物が非浸透面の場合、乾きやすさは溶剤の種類で左右されます。)

耐水性

染料インクは水に染料が溶けているため、印刷物に水がかかるとにじみやすいです。一方、顔料インクは印刷物表面に顔料が定着しているためにじみにくいです。

耐候性

染料インクの染料は光やオゾンによって容易に変色します。一方で顔料インキの中でも染料インクに比べて耐候性が良好です。
また特に耐候性が必要とされる屋外では、高級顔料と呼ばれる非常に耐候性が強い顔料も使用されます。

色彩

染料インクは一般的に光沢感を得やすいです。一方で顔料インクは、高精細な色の表現をしやすいです。

染料インクと顔料インクの違いのまとめ

染料インクと顔料インクの違いや特徴、印刷特性の違いについて紹介しました。染料インクと顔料インクの違いは溶媒に混ざっている色材の違いです。
色材の違いにより溶媒への溶け方が変わり、印刷特性も大きく変わってきます。対象物に印刷する前には、染料インクと顔料インクでは印刷するとどのような違いが出るのかを理解して使用していきましょう。